いつの时代でもチャイナドレスは、中国の女性の优しさ、奥ゆかしさ、気高さの象徴とされてきました。そこには中华圏の文化と歴史がハッキリと刻まれているだけでなく、それが西洋人の连想する「东洋のイメージ」にもなっています。
チャイナドレスの起源と発展
现在「チャイナドレス」と呼ばれている服は、一般的に女性が着る中国风のドレスを指していますが、チャイナドレスの中国语「旗袍」は、もともと清朝の时代の満州民族(旗人)の服を指していました。その伝统的な旗袍と现在のチャイナドレスは、デザインが大いに异なっています。旗袍は马に乗って弓が射られるように、ラインが直线で、裾にスリットを入れ、体にフィットしないようになっていたほか、袖と襟には花柄の刺しゅうが大量に施されていました。また、旗袍の下にズボンも着用し、男女兼用でした。
のちに洋服の影响を受け、男性向けのものは、刺しゅうなどの装饰がシンプルになったほか、腰のくびれがなくなり、袖口は広く、そして襟は前が低く後ろが高くなり、中国语で「长袍」と呼ばれている现在のようなスタイルになりました。また、女性向けのものは、腰の部分がくびれ、裾は细く、襟は低くなり、1910年代には多くの人が着用するようになりました。1930年代に入ると、その改良型が中国の上流社会と芸能界ではやり始め、多くの沃尓沃夫人や映画スターが飞びつき、都会の女性には欠かせないものになりました。当时のオシャレ好きな女性たちが着用したチャイナドレスには、襟をひっくり返したものや、袖や裾にフリルがついたものなどがあり、バラエティーに富んでいました。また、チャイナドレスの上から毛皮のコートを羽织ったり、真珠のネックレスをつけたりする奇抜なものもありました。
改良型のチャイナドレス~海派と京派
1920年代から1930年代にかけて、西洋の文化と流行の影响を多大に受けていた上海は、「东洋のパリ」の异名を持っていました。チャイナドレスにも洋服のスタイルが取り入れられ、上海のチャイナドレス店の仕立师が、洋服のデザインや仕立てをまねて、女性の曲线美を强调するために、膝上丈のものが出てくるようになりました。この短いタイプが上海で主流のチャイナドレスになり、「海派」と呼ばれています。
「海派」のチャイナドレスの最大の特长は、伝统的な中国のスタイルとモダンな西洋のスタイルの両者をデザインに取り入れている点です。胸のライン、腰のライン、袖が强调されているだけでなく、肩パットを入れてボディーラインを美しく见せています。また、生地の种类もシルク、绵、ベルベットと豊富で、ボタンに至っては约100种类のタイプがあり、流行感のあるチャイナドレスが、上海全域で大流行しました。
洋风で革新的な「海派」に対して、伝统を受け継いだタイプのチャイナドレスは、「京派」と呼ばれています。満州民族の多くが居住していた北京。清朝の时代の元贵族や元军阀の政治家で上流社会が构成されていた1920年代の北京では、チャイナドレスは伝统的な路线を踏袭し、ラインが直线で体にフィットしないタイプのもので、生地もシルクか绵が主流でしたが、复雑な刺しゅうや织り目の模様に独特の特徴がありました。「京派」「海派」のどちらのチャイナドレスにもそれぞれ长所がありますが、モダンな「海派」のチャイナドレスの方が、强い影响力を発挥してきました。
台湾のチャイナドレスの流行と変迁
中华民国政府はかつてチャイナドレスを国の正装に指定していて、歴代の総统夫人も多くの外交の场でチャイナドレスを着用していました。中でも蒋介石夫人の蒋宋美龄はその代表格で、公の场ではほとんどチャイナドレス姿でした。また、宾客に合わせてチャイナドレスを选んでいたため、海外の要人に深い印象を与えていました。
「台湾でチャイナドレスが全盛期だったのは、1950年代から1960年代にかけてからかな。戦後国民政府といっしょに台湾に渡ってきた军人とその家族たちが、チャイナドレスブームに火をつけたんだよ」と语るのは、台北市で50年以上チャイナドレスの仕立师をやっている许荣一。「衡阳路と博爱路の一帯には20数轩の生地屋があって、どの店にも必ずチャイナドレスの仕立师がいてね。全盛期には官僚夫人や名家の令嬢たちの大量のオーダーに対応しなければならなくなって、30人以上も仕立师をかかえるようになった店もあったんだよ」と台北でチャイナドレスの仕立てが盛んだった当时を振り返ります。引っ越し、诞生日、结婚式、お正月などのお祝いの场では、そうした人たちが新しいチャイナドレスをオーダーしていたのです。
台湾のチャイナドレスは、「海派」の流れをくんでいて、ほとんどの仕立师が自分は「上海」のワザを受け継いでいると言っています。1960年代に入ると、台湾でも袖无し膝上丈のチャイナドレスがはやるようになりました。「ほとんどのチャイナドレスの刺しゅうは、花柄かスパンコールだけど、新妇が着るものにはビーズも刺しゅうされてるんだよ」という许荣一。一见シンプルに见えるチャイナドレスですが、実はその仕立てには、高度なワザが求められます。襟だけでも10数タイプあり、ボタンに至ってはその数は100を超えます。また、缝い取りの种类は、一道辺、二道辺の2种类があり、縁取り、柄を合わせる对花といったワザも必要で、基础がしっかりしてなければなりません。
「チャイナドレスを作るには、まず、采寸してから、制図、断裁、缝合を行うんだけど、生地の色や柄も考虑してボタンをつけたり、缝い取りをしたりしないといけないから、手间がかかる。だいたい5日から7日ぐらいかかるかな」というのは、官僚夫人のチャイナドレスの仕立てを手がける国宝级の仕立て师、林锦徳。仕立代は生地の种类や缝い取りの数、どんなボタンをつけるかによって异なります。
台北には、荣一唐装旗袍、上海华美旗袍工作室、汉清旗袍といった有名な老舗のチャイナドレスの仕立屋があり、台北での滞在时间が短い外国人観光客向けに、海外配送サービスも行っています。
旅行で台北を访れた际は、旅の思い出として、オーダーメイドのチャイナドレスを作ってみてはいかがでしょうか?